コラム「透視図」

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「学名東海旧邦華/長嘴朱顔詩可嘉

2012年4月24日

 ▼「学名東海旧邦華/長嘴朱顔詩可嘉/知得此禽頻絶滅/自然破壊使人嗟(学名は東海/旧邦の華/長嘴朱顔/詩もて嘉すべし/知得たり此の禽/絶滅に頻す/自然の破壊/人をして嗟げかしむ)」。農学博士井上元則氏(江別)作の漢詩「朱鷺(トキ)」だ。井上氏は鳥類の研究や保護などに尽力した人で、漢詩吟詠も愛好した。「鳥と漢詩」(1985年)という本も出版し、同書の中に「朱鷺」がある。
 ▼「この鳥は81年、佐渡にいた五羽が増殖を目的に捕獲され、野生のものは現在日本にいなくなった」。「朱鷺」に添えて、そう記している。トキの危機を嘆いて詠んだらしい。佐渡で放鳥した日本の特別天然記念物トキにひな誕生―。そのニュースに触れ、この一編を思い浮かべた。放鳥は2008年に開始され、放鳥トキからかえったのは初めて。自然界でのふかは36年ぶり。放鳥トキは現在、15組がペアをつくり、今後も誕生する可能性があるという。天の井上氏も喜ぶだろう報だ。
 ▼トキは、江戸時代までは日本国内に広く分布していた。が、明治時代に入り、食用と羽毛を取るために乱獲され、大正時代には絶滅したと見られた。昭和初期に佐渡で生息していることが確認され、保護と繁殖の歴史が始まるが、03年に最後の1羽が死亡し、日本のトキは絶滅した。中国からトキを得て、復活が目指され、ようやくここまできた。井上氏の「鳥と漢詩」には朝鮮半島の水辺を歩く野生のトキの写真も載る。ここから早く日本のどこでもそんな姿が普通に、と思うばかりだ。

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日本におけるいわゆる旅行ガイドブックは

2012年4月21日

 ▼日本におけるいわゆる旅行ガイドブックは、鉄道の普及とともに進歩したそうだ。明治時代に出版されだして、1929年には「日本案内記」(鉄道省)の刊行が始まった。九州、中国四国、中部、近畿、関東、東北、北海道の8編で構成し、北海道編は36年に発売となった。「日本案内記」の充実した内容を超えるものはないとも言われ、北海道編も400㌻にわたって北海道を詳細に紹介しているという。
 ▼北海道出身の詩人で作家の小熊秀雄(1901―40年)は、短歌も多く詠んだ。北海道を旅したときの歌がある。「幅広き名寄の町に降りたちて煙草屋の娘に路をたづねる」。「日本案内記」でも手にしていたら、こんな歌は詠まれなかったかもしれない。「味けなや旅の心に鳴るものはかたくつめたきトンカツの皿」。きのう、「ミシュランガイド北海道2012特別版」が発売となった。加えて、そんな1冊も手にしていたら、小熊秀雄ももっと楽しい旅ができていたかもしれない。
 ▼「ミシュラン―北海道」は、213㌻にわたって北海道のお薦め所を載せる。反響があり、重版される。来道者が増えそうだ。道産子の道内巡りも増えようが、同書を加えて旅の充実を、と思う。ただ…。小熊秀雄の歌には「喫茶部のツンとすました女故またコオヒイのうまき味かな」「のみながらウドの酢の物まくらへば旅するものの心やすらふ」。そう、情報に頼り切らず、自分の基準を崩さず、楽しむことも大事だ。春。5月連休も来る。出かけるぞ―の人は、とにかく楽しんで。

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とうとう100日を切った。第30回夏季オリンピック

2012年4月20日

 ▼とうとう100日を切った。第30回夏季オリンピック・ロンドン五輪(7月27日―8月12日開催)の開幕までがである。第1回のアテネ五輪(1896年)は8競技・43種目で行われ、参加国14、参加選手241人だった。五輪は、そこから充実を重ねた。ロンドン五輪は26競技・302種目で行われ、参加国は200、参加選手1万人規模である。その規模だけ見逃せられない人間の祭典が繰り広げられる。
 ▼ちょうど100年を迎える。日本が初めて五輪に参加したのは100年前のこと、第5回のストックホルム五輪(1912年)である。1競技(陸上)に役員2人、選手2人で参加した。そこからすぐに結果を出し始めた。次のアントワープ五輪で銀2個(テニス)を獲得し、以降、結果を出し続けた。三段跳び3大会連続金、男子100背泳ぎ金銀銅独占、「前畑ガンバレ」の女子200平泳ぎ金、東洋の魔女旋風、負傷の山下選手柔道無差別級制覇…。日本選手は快挙を見せてきたが、それは今度もだろう。
 ▼ついに100個を超えようか。日本のメダル獲得数は金123個、銀112個、銅125個である。銅は第27回のシドニー五輪、金銀は第28回のアテネ五輪で100個を超えた。種目では体操が金銀銅92個、水泳が74個を数える。力あるそれらは、今回で100個を超えてしまえばいい。快挙もメダルもだが、感動をくれる選手の躍動を今から楽しみにするばかりだ。時のたつのは早い。カウントダウンに入ったロンドン五輪開幕、もうきょうであと98日である。

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「家貧しくして孝子顕わる」。日本の状況は、

2012年4月19日

 ▼「家貧しくして孝子顕わる」。日本の状況は、この言をつぶやかせるばかりだ。「状況が大変なとき、助ける者が現れる」がこの言の意だが、「足を引っ張る者が現れる」だけだからである。民主党政権―田中防衛相は、資質を疑うことを重ね続けた。前田国交相は、選挙支援問題を起こした。問責決議案が出されるに至り、2人が辞任しなければ、自民党は「審議拒否する」。政治はさらに混迷へ、である。
 ▼民主党政権は2年間に3人の首相が現れ、問責決議を―といった事態を招いた大臣は山岡消費者相、柳田法相など過去5人に上る。「孝子」は現れずにきて、混迷が続き、深まることにため息が出る。もっとも民主党政権を責める自民党もそうだった。政権を失う直前の2年間に3人の首相が現れた。安倍首相時代には久間防衛相、佐田内閣府特命相、赤城農水相等々が問題を起こして辞任し、麻生首相時代も中山国交相、中川財務相、鳩山総務相等々が。永田町は、いにしえの諭しなどとは無縁になっている。
 ▼21世紀政策研究所が16日、2050年までの日本と世界50カ国・地域の長期経済予測を発表した。その予測にも、ため息が出た。誰もが出たのではないだろうか。日本は「30年代以降にマイナス成長へ」「41―50年のGDP成長率は平均マイナス0.47%に」「GDPは世界4位に」…。状況を変えなければ、先進国から脱落だという。突っつき合いの政治を続けている場合ではない。日本がただ貧しくなるだけなのに、永田町よ、「孝子」現れずでどうする?

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広島県大崎町の来島5億円

2012年4月18日

 ▼広島県大崎町の来島5億円、沖縄県竹富町のウ離島5億円、広島県東広島市の藍の島4億円、熊本県天草市の黒島2億5300万円…。不動産会社が扱っている国内無人島の販売価格である。2―3000万円の島もあるが、価値ある島は高額らしい。が、沖縄県石垣市の尖閣諸島はそれどころではない。「外国企業から350億円で売却してほしいと言われた」(所有者・栗原國起氏)ことがあるそうだ。
 ▼さて、まじめに本題に入るが、東京都が尖閣諸島を購入することを訪米中の石原慎太郎都知事がワシントンで明らかにした。購入するのは5島のうち魚釣島、北小島、南小島(大正島は国有、久場島は在日米軍使用)。所有者との交渉は進み、基本的に合意しており、本年内の取得を目指すという。それには少なからぬ税金を投入することになるが、石原都知事は尖閣諸島を購入することの大きな価値を強調した。中国が領有権を主張する中で「日本の国土を守るため。東京が尖閣を守る」。
 ▼ことし1月、所有者の弟・弘行氏がインタビューで語っている。今の政府は、「『領土問題は存在しない』と言うだけで、具体的にどう島を守っていくかを明確にしていない」「日本の国土として国益にかなった実効支配を。政府の姿勢はあやふや」…。尖閣諸島は所有者が明確だからと国有化を見送るなど、確かに今の政府は国というものへの確固たる意識に欠ける。所有者側は、石原都知事の強姿勢に反応したらしい。問題はあちら中国。その強姿勢に中国はどう反応するか、だが…。

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