土木のなでしこたち


函館高専環境都市工学科助教 片岡沙都紀さん

 ものづくりから人づくりの現場へ―。幼いころに見た現場の壮大さ、土木の奥深さを教えてくれた高校や大学の先生。出会いが貴重な糧として彼女を育み、今、教壇で未来の土木技術者と向き合う。

片岡沙都紀さん
片岡沙都紀さん
 最初に目指したのは、現場で働く「技術者」だった。小学生の頃、電気技術者の父に連れられ、旭川大雪アリーナの新築現場を訪れた。「大勢の大人が協力してこんな大きなものを造ってるんだ」。その光景が幼心に、強烈に焼き付いた。

 ものづくりへの関心はやがて高校時代になって、はっきりとした目標に変わった。そのきっかけは地学の先生が話した、外国での地層調査の体験談。「地震や山、地学への興味につながった」という。

 大学は、寒冷地工学の北海道らしさに引かれ北見工大へ。「もともと、4年間で卒業し、土木の現場でヘルメットをかぶって仕事する」ことが目標だった。しかし、専門を極めるうちに研究と教育に関心が高まった。土木の現場と同じく「研究生活に興味と楽しさを感じた。教員となって、学生と共に土木の道を歩んでみたい」と教職・研究職の道へ。

 博士課程を修了し、函館高専の助教に応募した。函館での勤務もことし4月で4年目を迎える。15歳から20歳までの学生と過ごす日々は「毎日が新鮮なことだらけ」。学校を離れても目に入るものは、仕事につなげて考える。「百円ショップへ買い物に行っても『これは、実験に使えるかも…』と、つい思ってしまう」

 大切なものは「学生が一番。常に学生目線で考えていきたい」。特に力を入れるのは女子学生の支援。「同性の目線で話す先生の言葉が、女子学生にはすんなりと素直に入ることも多い」。自らが女子学生だった経験から、目指す女性土木教員の姿は明確だ。

片岡沙都紀さん  高専の女子学生は年々増え、クラスの2割を超すほどになった。しかし、卒業後の就業イメージが見えないのは、土木系女子の共通の悩みだ。土木に進むための「最初の一歩が分からない子も多い。自分で調べるのも大切だけど、一歩目が右か左かくらいは手を貸したい」。女子の就職モデルを示すため、高専OGへのアンケート調査を進めている。

 現場の楽しさとやりがい。それが最も学生に伝えたいことだ。自分の技術が形となり、地域と人の幸せにつながる。「土木は『地図に残る仕事』。自分の仕事が、社会にどう根付いていくかしっかり理解して仕事に向かってほしい。そのために勉強を」とエールを送る。

 夢は「1年生から教えた子が、就職して『先生、土木の仕事って面白い!』と言ってくること。それが女子学生であれば、なおうれしい」。親鳥の心境で、今日も教壇から、巣立ちを待つ多くのひな鳥たちを優しく見守る。

上司から一言

沢村秀治教授 さっぱりした性格で、学生に慕われ頼りにされている。特に女子学生にはリーダー的存在。専門外の実習などの指導力も高く、今後は学校全体にも力を発揮していくことを期待している。

片岡 沙都紀さん(かたおか・さつき)。
1979年5月15日生まれ、32歳。旭川市出身。
北見工大大学院博士課程修了後、2009年4月から函館高専環境都市工学科助教に。趣味は旅行と買い物。11年12月に結婚、夫はゼネコンの社員。

(2012年2月11日掲載)

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