松崎健児氏(北海道建築整備室 計画管理課参事)インタビュー

 道が06年度からの本格導入にむけ、検討を始めたファシリティマネジメント(FM)。行革大綱や財政立て直しプランにも位置づけられた。本年度設置された導入検討セクションでは、制度設計や運営組織のあり方など、基本方針の策定に取り組む。 施設の長寿命化をはじめ、維持運営コストを抑え道有施設の有効利用を図る総合的な手法として、また新たな道庁運営のインフラとしての庁内共通認識に奔走している。検討スタッフのリーダーを務める松崎健児参事にFM導入にかける期待などを聞いた。

聞き手=武内正巳記者

道庁FM導入検討-道全体でファシリティマネジャーの知識を

-このセクション設置の経過を。


松崎 健児(まつざき・けんじ)さん
 02年度の施設整備方針で、厳しい財政状況で今まで同様に35年程度の建て替えが非常に難しくなると指摘が出され、長寿命化とライフサイクルコストの縮減を図るストックマネジメント(STM)が打ち出された。その後の財政建て直しプランで、新たな施設管理コスト削減手法の導入という言い方で、FMの必要性が盛り込まれた。

 FMは20年前から企業を中心に取り組まれている。日本ファシリティマネジメント推進協会(JFMA)や北海道ファシリティマネジメント協会(HFMA)からも、知事や副知事に提案があり、行財政改革に取り組む道が必要ありと判断。行革室が事務局になり勉強会を開始、04年度には庁内の関係者を集めて導入の検討会議が開かれ、 実施への検討がされてきた。建築整備室で既にSTM対策でシステム構築に取り組んでいたため、両者を一緒にし、FMを06年度本格導入することが決定。STMがまだ完成していなかったため、整備室に検討セクションを設置した。

 メンバーは様々な部署から集まった。私は設備課、主幹は財政課で事務職。2人の主査は建築の技術で住宅と網走支庁の地域政策課の事務職、担当は2人機械と建築の技術。その方面の広さがFMの深さを象徴している。財政の物の考え方や、道全体の共通認識を得るための基本方針策定の仕方など、技術屋だけなら狭い部分だけを議論しがちだが、そこが違う。

-導入基本方針案とは何か。

 取り組みは5つの柱、STMによる建物の長寿命化、ファシリティコスト。光熱費や清掃委託費コストの縮減をどうするか、スペースの有効活用、PDCAサイクル手法の取り入れ、土地の資産の有効活用だ。道には約2万1千棟の膨大な建物の棟数がある。長寿命化の観点で一元的に管理することはこれまでなかった。 このためSTMではかなりのスペースを割いて、仕組みを作り上げた。ファシリティコストは、共通の指標や基準がないと、PDCA評価には結びつかない。このためベンチマークで同類施設の単位面積当たりの光熱費比較や、北海道の施設標準を出し、設備や維持管理方法のどこに問題があるのかを把握する。

 組織ではまず本庁に統括管理の機能が必要。STMで施設情報の一元管理をするが、肝心なのは施設管理者。専門的な技術や知識がなく困っている。各管理者に技術者を配置するわけもいかず、この統括管理機能が中心になり支援する。また支庁でも地方の拠点、技術相談や指導するところも必要だ。

-具体的なメニューは来年度以降か。

 我々は導入準備の組織でFMそのものを行う部署ではない。仕組みを作り組織をどう立ち上げていくかを固める。STMでは施設管理者が保全計画を作るのが原則。屋上の防水や外壁の更新年時などの保全標準を保全マニュアルで明記、それに沿って管理者は保全計画書を作り本庁の統括機能に提出する。 更新時期がきたら施設整備計画をつくり、本庁の技術部門が評価と指導助言を行う。財政部門にも出すので、技術的な評価も踏まえて、予算を決定するという流れになる。

 本庁の統括機能は、FMの企画や計画を考える。事業そのものをやるのではない。事業をいかに管理できるかがFMが上手くいくかが鍵だと思っている。

-JFMAらでは認定ファシリティマネジャーの資格制度を運営し、全国6千人規模になっている。統括機能部署でもそうした存在が必要ではないか。

 資格ということではなく役割としては必要だし、その発想がないとだめだ。ことしHFMAが行った資格受験の準備講習会に参加してみて、知識は必要だし、持つべきだは思った。ただ資格を意識して組織を考えてはいない。欧米では権限の裏打ちがあるのだろうが、日本の役所は文章事務で決めている。 FMの仕組みの中で、誰が何をするかの権限をいま決めている最中だ。ファシリティマネジャーだからといって、知事に代わって全てのファシリティをマネジメントできればいいが、据えたからといって出来るのではない。ルールが必要で事務処理の規定を作らなければならない。財政危機の中で意識は変えなければならない。 その意味ではファシリティマネジャーとしての知識は全部の道職員は持たなければならないだろう。

-今後の課題を。

 行革大綱にも位置づけられており、そのスケジュールに合せていく。STMでは、建物の修繕には基本的にすべて、技術評価を出す仕組み。そのボユームがどうなるか、書類だけで評価できないのは現地の建物をみて判断する。施設情報システムも入れ物は一応できたが、ぼくらが頭で描いた通りに順調作っていけるのかが気になる。

 いままで、施工依頼を各部から受け設計と工事監理を行ってきた。今後は、施設保全に主体的に関わることになる。これまで計画修繕を行ってきていないところに、財政難の中、新たに取り組まなければならず、かなり厳しい状況になるとは思う。

(2005年9月21日北海道建設新聞掲載)

松崎健児(まつざき・けんじ)

1950年1月6日生まれ。厚真町出身、神奈川工大工学部卒業。高齢化対策室主査、建築指導課指導・確認の各係長、帯広市都市計画課主幹、住宅課長補佐を経て、02年度に設備課長、05年度現職に。


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